「ねえ、藤城君って……」

「会長、私に書類の書き方を教えてくださいませんか?
過去のデータだけでは、わかりにくいので」

莉子ちゃんが私の腕に絡みついた

そしてそのまま会長室に引っ張り込まれた

「じゃ、僕も…」

「藤城は俺がみっちり教えてやるよ」

克波君が立ち上がって、藤城君の腕を掴んでいた

会長室のドアをしめた莉子ちゃんがふうっと息を吐いた

「莉子ちゃん?
もしかして藤城君のやろうとしている事柄を知っているの?」

莉子ちゃんは顔をあげるとにっこりと微笑んで首をかしげた

「嘘をついてもいいですか?」

「え?」

「だって桃香お姉さん、気づいていそうなんですもの
だから私としては内緒にしておきたいのです」

莉子ちゃんの笑顔は崩れない