「あんた、何を言っているのか…わかってるのかよ」

悪者になりきれてない人って、可愛いのよね

でも駄目だわ

そういうの、いけないのよ

反則って言うの

貴方は兄様に復讐をしたいのでしょ?

使えるものは使わなくちゃ

大見栄切って、昨日、兄様の目の前で私にキスマークをつけたのでしょ?

なら、最後まで私を利用すればいいのに

「わかっていますわ
貴方が私に興味がないように、私も貴方には興味がありません
だから何をされても、何の感情も抱かない
どこで何をしようと、気にしないわ
でも桃香さんの体を狙うのだけは、赦さない」

「は…そういうことか」

「ええ、そういうことです
ご理解いただけて、光栄ですわ
ですから、桃香さんの体に触れたいとおっしゃるなら、どうぞ私の身体に触れてください
兄様を怒らせたいなら、私の体でも充分効果を発揮します」

「たいした女だよ、あんた」

「お褒めのお言葉に感謝いたします」

私は藤城君に、会釈をすると歩き始めた

そうよ
兄様は苦しんで生きてきた

だから幸せになってもらいたいの

私の体はもう汚れているから
何をされても平気なのよ