「莉子ちゃんも知ってるんだ」

「知ってますよ
兄様は隠しているつもりみたいですけど」

克波さんがお腹を抱えて笑いだした

何が面白いのかしら?

おかしいことなんて言ってないのに

兄様、学校でも好き放題でしたのね

私も好き放題、行動してもいい?

中学でできなかったことを、高校でやってみたいの

中学での記憶を抹殺して、新しい私を作るのよ

中学の私を知らない場所で、生まれ変わるの

ね、いいでしょ?

「ねえ、克波さん
私、桃香さんを本当のお姉様にしたいんだけど…いいかしら?」

私は、克波さんのほうへと身を乗り出すと小声で呟いた

「いいと思うぜ
俺も勇人さんには桃しかいないと思うんだ
でも当人たちは全く進展を望んでねえんだ」

「私、一肌脱ぎますわ」

「よろしく!」

私たちはほほ笑みあうと、距離をあけて座りなおした

克波さんは何事もなかったように口笛を吹き、私は桃香お姉さんの背中を眺めた