「ふ…ふ…ふぇ…」

あたしはドレス姿で、貴美恵さんの家の玄関に立った

瞳からはぼろぼろと涙があふれ出ていた

「ああ?」

勇人さんが、眉間に皺を寄せたまま怖い顔をして立ってた

「貴美恵、何で桃香が泣いているんだ?」

勇人さんが、貴美恵さんを睨んだ

「私を睨まないでよ!」

「お前以外に、いないだろうが!」

「何がっ!」

「話を聞けるやつが…だ
玄関に突っ立ってて、事情を知っているのはお前だけだろうが」

勇人さんが苛々してるみたい…

どうしよう

怒ってる?

貴美恵さんが、頬を膨らませると腰に手をあてた

「どう?
桃香ちゃん、可愛いでしょ
ウエディングドレス姿…」

「ウエディングドレスなのは見ればわかる!
なんで、桃香が着ているのか…と俺は聞いているんだよ
それに、なんで桃香が泣いているんだ」

「ああ…それね」

「何が『ああ…それね』だよ!
俺は最初からその理由を聞いているんだよ」

勇人さんが、『ちっ』を舌打ちをした