藤城君…今日、お墓参りに行ってきたんだ

理沙さんのところに報告に行ってきたんだね

きちんと私に話をしてくれてありがとう

心の傷ってなかなか言いにくいだろうに…藤城君から言いに来てくれてすごく嬉しいよ

ありがとう

「それと…僕の両親のことも知っておいてほしい」

「え?」

「父親は生きてるけど…もう会えないところにいるんだ
僕自身も会いたいとは思ってない

兄さんも会いたいなんて思ってないよ
僕の父はそういう人だ

すごく嫉妬深くて、疑り深い人だったんだ
僕の母は、藤城家の娘で…父とは駆け落ちだった

父は母や僕たちが外に出ることを望んでなかった
父の知らないところで、楽しくしているのを許してくれないそういう人でね
監禁されてたんだ

父が仕事から帰ってくれば、自由なんだけど
それ以外は家に閉じ込められて、外には出してもらえない

でも僕たちは外で遊びたくて、何も父の目を盗んでは外に出ていた
それに気が付かれてさ…
怒った父が、脅すつもりだったと思うんだけど刃物を振り回して…
それが母に刺さったんだ

母は一命を取り留めて、入院したけど…すぐに亡くなったよ
事情を知った祖父が、僕たちを引き取ってくれた

兄さんは祖父の養子になって
僕は母の弟の養子になった

だから血のつながりのある兄さんだけど
戸籍上だと親戚同士なんだ」