「私、早くテツの子を身ごもりたいの
オバサンになる前に…」

貴美恵さんが悲しい目をした

「貴美ちゃん!
オバサンなんて言わないでよ」

テツさんが、貴美恵さんの隣に座ると肩を抱きしめる

「だって…いくら若く見えるように化粧や服装を頑張っても…見た目だけで
本当の年齢が若くなるわけじゃないわ
着実に老けていってるもの」

「あの…貴美恵さんって何歳なんで…」

「29歳」

克波君が横から口を出してきた

貴美恵さんの目が細くなると、克波君を睨んだ

「別に…隠す必要ないじゃん」

「うるさいわね!
私は気にしているのよ」

「僕は気にしてないよ?」

テツさんがにっこりとほほ笑んだ

「僕は、子どもがいなくてもいいんだ
貴美ちゃんと一緒にいられれば、それだけで僕は幸せなんだから」

テツさんって…やっぱり格好いいなあ

あたしは、貴美恵さんの手を握りしめた

あたしも、好きな人の子を産みたい

少しでも若いうちに…って気持ち…すごくよくわかる