「ほら! 次は桃香ちゃんの番よ!」

あたしは貴美恵さんにボールペンを渡された

本当に?

不安だよ…

こんなのってよくないよ

確かにずっと一緒にいようって話したばかりだけど

勇人さんの知らないところで、婚姻届を書くなんて…

でも貴美恵さんの気持ちもわかるし

勇人さんと貴美恵さんは婚約者同士で…勇人さんから破棄を申しださないと…っていう心の内は理解してるよ

だからって…

「桃香ちゃん、ごめんね
でもうだうだと親と揉めていたくないの
もう区役所に出してしまえば、親だって口出しはできないと思うのよ
安易な考えて、馬鹿な真似だとはわかってるわ
これで桃香ちゃんが妊娠していれば、文句なし!って感じだけど……中には出してないんでしょ?」

「え?」

あたしの顔が真っ赤になるのがわかった

頬が熱くて、思わず手で、頬を扇いだ