藤城君…

やっぱり藤城君は良い人だよ

最初から、兄様に復讐できるような人じゃなかった

私、藤城君と出逢えて良かった

藤城君を好きになれて、幸せだよ

「藤城君、一つ聞きたいことがあるの」

「何?」

藤城君が優しい声で、首を傾げる


「どうして…学校のときの藤城君って、いつもと違うの?
妙にハイテンションで、すごく藤城君らしくない」

ふっと藤城君が口元を緩めると、正座している足を崩してあぐらをかいた

「僕はなんでも1番を求められた
勉強でも、剣道でも…何をするにも

だから友人作りでも、誰よりも多い友人を求められ
そして誰よりも信頼できる友人とならなければならなかった

僕を引き取ってくれたお義父さんが望むような学校生活を、成績を
僕はきちんと結果にして目に見せなければいけなかった

自分を作ることで、友人は獲得できた
ただそれだけ

僕にはなんの価値も見出せなかったよ
相手は僕を信頼し、頼ってくるけれど
僕は誰にも頼れなかった」

藤城君は、肩すくめると苦笑した