藤城君と二人きりになる

藤城君が、恥ずかしそうにほほ笑むと首の後ろを掻いた

「ごめんね
黙っているつもりではなかったんだけど…」

「言う機会がなかったもんね」

私は藤城君の手を握った

「愛子とは何もないよ
ただ祖父たちが、許婚と言っているだけで、僕はずっと嫌だったんだ
何度も好きなろうと努力したけど、無理だった」

「話してくれてありがとう」

「ううん
きちんと話すべきだったよ
本当にごめん
僕は莉子と真剣に付き合いたい
喧嘩しても、そのまま別れてしまうのではなく
きちんと話しあって、互いの気持ちを理解し、そして受け入れて
仲を深めていきたいんだ」

藤城君が私の手を握り返してくれる

ぎゅっと強くて、ちょっと手の平が痛かった