「悪いけど…愛子とはそういう気持ちにはなれない」

「私に魅力がないとでも?」

「僕には…ないよ」

愛子が鼻を鳴らして、くすりと笑う

そういうのが僕は嫌いなんだ

どす黒い思いを腹の奥に隠し、清廉潔白そうな女性を気取る

莉子は違う

腹黒そうな女演じ、己を強く見せたがっているだけで

本当は純粋で、心が弱い

『清廉』の意味

心が清くて、自分の利益を求める心を持たない

そういう心を莉子は持っている

兄の幸せを願い、僕に近づいてきたり

クラスの中で、妙にはしゃぐ僕を見て、悲しそうな眼をして心配していたり

我が儘そうに見えて、他人のことを一番に考えている

それでいて、人一倍さびしがり屋で泣きそうな目で……

…ってやばい

莉子のことを考えだけで、体が反応する