ずるいな、莉子は

あの顔も、あの仕草も、あの声も…

全てが僕を魅了して離さないんだ

「僕は…重症だよ」

僕はため息をつくと、座卓にごんっと額をぶつけた

「何が重症なの」

愛子の声に、僕は背筋を伸ばすと振り返った

お茶を持って、縁側に立っている

「愛子…」

「もう莉子さんは帰ったの?」

「ううん、まだ
離れにいるよ」

「なんで?」

「あ…ちょっと貧血で具合悪いそうだから
少し休んでから帰るように……」

「白々しい嘘ね」

愛子が冷たく言い放つと、座卓にお茶を置いた

白い湯気がゆらゆらと立ち上るのを僕はじっと見つめる