「ごめんなさい」

あたしの立ち上がると、勇人さんに頭をさげた

「どうして桃香が謝る?」

「だって、悪いの父だし
あたしがいなければ……勇人さんだって」

勇人さんが眉間に皺を寄せた

「そんなふうに言うなっ!
『自分がいなければ』とか、『迷惑ばかり』とか思うな
俺は、桃香が傍に居てくれて感謝をしている
桃香と出会ってよかったと思っている
桃香だからこそ
桃香だったから…今の俺がある
桃香以外だったら、俺は今の俺じゃない
まだ過去に縛られてる男だっただろう
だから、俺は桃香じゃなきゃ駄目なんだ」

勇人さんが怖い顔で、苦しそうに言葉を吐き出した

あたしだからこそ?

あたしだったから?

あたしじゃなきゃ……

そんな風に言われたの、初めて

あたしでいいんだ

あたしで……