「ここなら、誰にも見られないよ」

藤城君が、木々に囲まれた場所で足を止めた

たしかに…道から外れたけど…外だし

外でっていうのは、ちょっと

「莉子、忘れものを届けに来てくれたんでしょ?
僕に、忘れものを頂戴」

藤城君は私に抱きついた

ぎゅっと強く私の腰を押してくる

「あれは…言葉のアヤっていうか
ああ言わないと、いけないような気がして」

「莉子…なんで僕が、小山内先輩の家に戻らなかったか…わかる?」

「え?」

あれは…兄様の見解通りなら…