「あ…えっと、く…久我さんに渡しておきましたので」

その場限りのウソって、つらいよ

どうしていいかわからない

忘れ物を届けに…なんて言わなきゃ良かった

「え? 俺、もらってへんけど?」

「あら…もうボケが始まってるのかしら?」

愛子さんが馬鹿にしたように笑う

ちょ…なんで?

話しを合わせてくれたっていいんじゃない

ここに呼んだのは久我さんなのに…

「莉子、授業のノートを持ってきてくれたんだろ?
部屋に莉子のノートがあるから、俺も渡すよ
ごめんね
ぶつかったときに、入れ違いになってるのに気付かなくて」

藤城君が優しい笑みを見せてくれる

嬉しかった

胸が温かくなる