「これが…藤城君?」

「もうかれこれ2時間ほど、動いてるで」

「え? 2時間も?」

「そや」

なんで?

そんなにやるものなの?

藤城君は家に帰ってきてから、ずっと道場で動いてるってこと?

「俺が見せたいのは、これだけじゃない」

久我さんが、ニヤリとほほ笑むと道場の入口をさした

和服姿の女性が、何か小箱を持って道場に入ってきた

小柄で可愛らしい女性だった

私よりも年上?

女性が入っていくなり、藤城君の動きが止まった

手を止め、床に落ちていた鞘を取ると真剣をしまった

「ここやと声が聞こえへんな
近くに行ってみようか?」

久我さんは私の腕を掴むと、道場の入口に近づいて行った

どうして?

久我さんはなんでこんなことをしているの?

私と藤城君を別れさせるため?

どう見てもあの女性は、藤城君と何かありそうじゃない

ただの友達…とは見えないよ