「こっちや」

久我さんが私の腕を掴むと、門をくぐって右手のほうに進んでいった

木々の間を抜け、たどり着いた場所は道場だった

戸が開いており、人影が見えた

「あれが、竜之介や」

木の陰に隠れながら、久我さんが教えてくれた

道着に身を包んで、藤城君が真剣を振り回していた

何かの型なのだろうか？

背筋をぴんと伸ばしている

ただ無意味に剣を振り回している…というよりも、決まった型通りに動いているように見える

額や頬からは汗が流れおち、藤城君の目は真剣そのものだった

学校にいるときの藤城君とは全く別人だ

目は野獣のように光り、まるで剣の向こう側に敵がいるかのように見えてくるから不思議だ