「おっと…これ以上は動くなよ!」

一真の後ろから、恰幅の良い男が拳銃の引き金を引いて立った

黒光する拳銃の先が、一真の後頭部にぴったりとつく

僕は腰をついたまま、顔をあげるとそこには兄さんの同僚が立っていた

「森谷さん」

「久しぶりだね
竜之介君
再会の会話をゆっくりとしたいところだけど…こいつを銃刀法違反と、殺人未遂、傷害罪で逮捕しないと、だから」

「また…最後まで、きちんと出来なかった」

僕はぼそっと呟くと、立ち上がった

一真は森谷さんに手錠を掛けられている

他の制服警官に腕を掴まれた一真は、動きを封じられてパトカーへと向かっていく

「竜之介君、けがは?
救急車を呼ぶ?」

「いえ…頬を少しすりむいて
肩と腕を打撲した程度ですから…たぶん大丈夫です」

「そうか…君が無事でよかった」

「ご心配おかけしました」

僕はお辞儀をした

森谷さんは、僕の肩を叩くと、乗ってきたと思われる車に乗り込む

運転手に、何か話しかけたあと
僕に手を振って、車が発進した

また…僕は、一人で解決できなかった

剣道は僕の得意分野なのに、叩きのめすことができず

さらに怪我をするなんて…最低だ