「莉子ちゃん、藤城君に会えた?」

桃香先輩が、赤いドレス姿でエントランスから出てきた

僕は振り返ると、眉間に皺を寄せた

「桃香先輩! 出てきちゃ駄目だ
莉子、桃香先輩を早く中に入れて部屋にもどれ」

「え?」

「早く!」

「桃香?」

僕の足の下から、一真の低い声がしてきた

「桃香がいるのか?」

「…うわ」

一真が、起きあがった

僕がバランスと崩して、コンクリートの上に肘から落ちていく

いってぇ…な

なんて力だ

どこからこんな力が出ているんだよ!