一真が口角を持ち上げると、手を叩いて笑い声をあげた

「とんだ迷推理だよ!
間違いも良いところだ」

「妄想好きなやつは、真実を捻じ曲げて、妄想を真実にすると聞いたことがあるが…
あんたもその部類か?

真実とは現実で起きたことを言うんだ
あんたの脳内にある真実は、妄想だろ?」

「まさか…君の頭の中のほうが、妄想だらけなんじゃないのか?」

一真が俺に近づいてきた

「桃香が殺したんだ
介護もせず、施設に送って…お坊ちゃまと恋愛した途端に邪魔になって殺したんだ」

一真の手元がキラリと光った

俺の視線が一真の手に行く

手には包丁を持っていた

何?

俺は、突き刺そうとしてくる一真の手首を掴んだ