莉子ちゃんはふっと微笑むと、あたしの前に立った

「桃香さん、ほらっ!
兄様のところに行きなよ
せっかく過去を話すきかっけができたんだし」

莉子ちゃんがあたしの肩を掴むと、ウインクをした

え?

今のってわざと?

勇人さんに過去を離させるために?

そんな風に見えなかったけど…でも…

「莉子ちゃん?」

「兄様は他人のことはよくわかるくせに…ね
自分のことになると、すんごい鈍感みたいねえ

適当に遊ぶくらいなら、スマートな恋愛ができるのにね~
本気になると…途端にうぶな少年みたいにカチコチに固まるみたいね

ほら…チャンスは逃さないで!
怒りにまかせて、ぱんぱんと言っちゃった私も私だけど…今、兄様から聞かないとずっとクレアさんとのこと心に引っかかったまま

兄様と一緒にいることになるよ?
だから…兄様から聞いておいでよ」