「私が知りたいんじゃない!
桃香さんにどうして話さないのかってこと
好きなんでしょ?
大事なんでしょ?
なら、一緒に生きていこうと前になんで踏み出さないのよ
ただ傍に置いて、満足してる兄様が兄様らしくなくて…見ているこっちが苦しくなるのよ
そんなにクレアさんが良かったの?
まだ忘れてないわけ?」

莉子ちゃんの勢いのある言葉に、勇人さんの口が開いたまま動かなかった

勇人さんが横を向いて、胸に手をあてると苦しそうな表情になる

「クレアに抱く感情は、ただ申し訳なかったという気持ちしかない
好きとか、愛とかそういうのは、もうない
だからといって忘れたわけじゃない
一生、忘れないだろう
忘れちゃいけないと思ってる
桃香に話さないのは…こんな俺を知ったら、嫌われるのがわかっているからだ
だから言えない
それだけだ」

勇人さんは大股で歩き出すと、莉子ちゃんの横を通り過ぎて自分の部屋に入ってしまった

え?

ええ?

どういうこと?

なに?

何が起きてるの?