「慎め? 慎むのは兄様のほうよ
私の心の傷なんてちっとも理解してくれてない
ずるいわ
自分のことは棚にあげて、正論を言ってきたって…私にとったら苦痛でしかないのよ」

莉子ちゃんは席を立つと、居間を出ていことうする

「莉子、どこに行く」

「学校に行くの!」

「莉子は俺が過去を隠していると言ったな?
ああ、確かに隠している
この想いは俺自身、間違っていると思っているからな
俺の想いのせいで、人が一人死んだんだ
責任を感じている
生きて幸せを感じるべき人を、俺は死なせた
俺の勝手な想いを押し付けたからな
この心の傷を見たいなら、見るがいい
えぐりたいなら、えぐればいい
莉子が知りたいというなら、教えてやる」

莉子ちゃんが勢いよく振り返った