兄さんは仕事用の鞄を出してくると、A4サイズの茶封筒を出した

「お前が欲しがっている情報だと思う
小山内君から連絡はもらっている
…だが、お前には渡したくない」

「え?」

兄さんは茶封筒を、引いた

兄さんの胸の前に茶封筒が移動する

「お前に渡したら、お前は情報に書いてある場所に行くのだろ?」

「行くよ」

兄さんが頷く

「なら、渡さない
これはこっちで処理をする」

「なぜ?」

「危険だとわかっているところに、弟を送りだせない」

「僕は弱くない」

「ああ、わかってる
強くなるように…誰にも負けないようにしたのは…俺だ
だが、それは武道家の中で生き残っていく術だ
犯罪をおかすためのものじゃない」

真面目すぎるよ、兄さん

犯罪は警察に任せろって言うんだろ?

それじゃ、僕の気持ちがおさまらないよ

僕がこの拳で、ヤツらをたたかなくちゃ意味がないんだ