兄さんが僕の前にペットボトルを差し出した

緑茶のペットボトルだ

僕の好きな銘柄だ

僕が来るとわかって買ってきてくれたのだろうか?

僕は受け取ると、キャップを開けて一気に半分ほど飲みほした

「…悪かったな」

兄さんが悲しげな眼をしていた

「え?」

兄さんが謝った?

どうして?

なんで弟の僕に、頭を下げる?

「ずっと後悔してた
お前は無邪気で素直な子供だったのに、な
それが羨ましくもあり、悔しくもあった
俺は、祖父と祖母に…お前は叔父の家に引き取られ…
同じ屋根の下に住んでいたとはいえ、愛情の差を感じた
お前は愛され、俺は…ってずっと
だから、ついついお前には厳しく言っていた
悪かったな」

「別に…今頃、謝られたって…」

「そうだな」

兄さんが首の後ろに手を置いて、苦笑した

何だよ

急に、謝るなんて…不意打ちだよ

僕が怒れないじゃないか