「今夜は、兄さんにお願いがあるんだ」

「へえ、竜之介に頼られるなんて何年ぶりだろうね」

兄さんの固まった筋肉が解れたように見えた

少しばかり微笑んだ

「警察官でしょ?
困っている人がいるんだ
僕はその人を助けたい」

「犯罪が絡んでいるのか?」

「ああ、どんな罪状か知らないけど
性犯罪だよ」

「そうか
俺が調べられることなら、情報を提供する…が、お前は手を出すなよ」

「美味しいところは兄さんにあげるの?」

「そういうことじゃない
犯罪者は警察に任せろってことだ
お前は武道家の人間だ
無闇矢鱈に力を誇示するな」

「嫌だよ
黙って指を咥えてるなんて…僕にはできない」

「我慢しろ」

「無理だよ」

莉子が苦しんでるんだ