廊下に勇人さんが出てくる

心配そうに莉子ちゃんの部屋を見てから、唇をかみしめて居間に向かって歩き出す

「桃香? 聞いてたのか?」

「ちょっと…聞こえちゃったから」

「そうか…」

勇人さんが苦笑した

「兄の嫉妬だとはわかってるだが…つい、な
莉子と藤城を見ると…苛々しちまって、きびしいことを言ってしまう
俺だって、恋に目が眩んで、過ちを犯した過去を持っているのに、な」

勇人さんがさびしく笑うと、あたしの肩をポンポンと叩いて居間に入っていった