「藤城…もう一発、殴ろうか?」

「嫌ですよ
今度はちゃんと避けます
あ…今はダメですよ
女性のいる前で、殴り合いなんて…卑劣です」

「ふん、わかってるよ
今度見かけたら、背後から蹴り飛ばしてやる」

「あれ? 殴るだけじゃないんですね…」

「当たり前だ」

兄様がニヤリと笑う

藤城君は私を支えたまま、両手を前に出した

私が兄様の前に立たされる

今度は、藤城君ではなく兄様に腰を支えられた

あれ?

なんか違う

藤城君に触られたみたいな熱さがないよ

「では失礼します」

藤城君は頭を下げると、静かに玄関のドアを閉めた