「い…痛いっすよ」

藤城君が背中をさすっている

背中の痛みからか、顔を歪ませている

すごい音してたもんね…相当痛いはず

なのに、私を抱いている手を全く緩めずにいるなんてすごい

手を離して、激痛にもがいてもおかしいことじゃないのに

「気づいていたくせに…何を言う?」

え?

気づいていた?

「僕が避けていたら、莉子に当たったかもしれないでしょ?」

「俺がそんなヘマをすると?」

「さあ?」

「莉子を返してもらおうか?」

「ええ、そのつもりでしたよ
ただ、腰に力が入らないみたいですから」

藤城君の言葉に、兄様の眉間に皺が深く刻まれた

「あんだと?」

「小山内先輩の許可を取り忘れちゃいました」

藤城君がにこっと笑った

許可?

なんのこと?

「あ…9時ぴったりですね~
僕ってすごぉい」

藤城君がにこにこと笑っている

どうして藤城君って、妙にテンションがあがるのだろう?