ズルい

藤城君はハンバーガーをまた頬張り、痛みで顔をゆがませた

そんなに痛いなら、小さい口で食べればいいのに

「莉子」

「何?」

「拭いて」

「は?」

藤城君は、にっこりと微笑んで口の端についているソースを指さした

「汚しちゃった」

「だから? 自分で…」

藤城君は首を横に振った

「莉子の舌で」

「はあ? ここをどこだと思ってるの?」

「ファーストフード店」

藤城君は顔を出してくる

早く取ってよ…といわんばかりに頬を突き出す

嫌だよ

こんな人の多いところで…

私はまわりにいる客たちを見た

なんか…急に、まわりの人たちの視線を感じ始める

「ほらっ!」

藤城君が私を急かす

なんで?

どうしてこんなことを…要求してくるの?

「やらなきゃ駄目?」

「うん! 莉子のその顔…可愛いよ」

にぃっと藤城君が笑顔を見せた