「言っても…良いんですか?」

「髪を切った理由はなんだ?」

俺は質問を繰り返した

「莉子を好きになった……」

「殴らせろ
今すぐ、お前を殴らせろ」

「…て言うと思いました
嫌ですよ、痛いのは好きではありませんから」

藤城が苦笑をする

制服のポケットから赤いリボンを出すと、俺の前にチラつかせる

「小山内先輩、人を傷つけてもなお続ける理由はなんですか?」

藤城の目が鋭い

憎しみがこもっているわけじゃない

俺を見定めている

「傷つく人間以上に、救われる人間がいるからだ」

俺は藤城の目をまっすぐに見つめた

どんな暴言でも、俺は受け止める覚悟はできている

藤城の恋人が死んだ時には、覚悟がなかったが…

俺のした行為に、何が間違っているのか気づいていなかった

喜ぶ人間がいる裏には、悲しんでいる者もいる

そんな単純な仕組みを俺は理解していなかったから

今なら、理解している

納得している

俺のしてきたことに、間違いはないと信じている

だからどんな風に恨まれても、受け止める覚悟ができてる