くそっ

やっぱり、力では藤城には勝てねえな

俺の拳をあっさりと受け止めやがった

いとも簡単に

しかもびくともしてねえのが腹立たしい限りだ

「珍しいですね
感情が突っ走って他人に殴りかかるなんて、小山内先輩らしくない」

藤城がにっこりとほほ笑んだ

桃香は?

莉子は?

会長室に入ったのか?

俺は背後に人の気配がないことを確認して、藤城に受け止められた拳を引っ込めた

「髪…切ったんだな
俺への復讐を願賭けて、伸ばしてたんじゃねえのかよ」

「まあ…そうですけど」

「恋人のリボンなんかを後生大事につけやがって
女々しい男だ」

「よく言われます」

藤城が頬の筋肉を持ち上げた口角をあげた

笑っているように見えるが、目は笑っていない

「髪を切った意味はなんだ!」

俺は藤城を睨みつけた

答えの内容が、なんとなく見えている

聞きたくないが、聞かないと気がすまない

ヤツの頬に何発か
殴ってやりたい

妹に勝手に手を出しておいて

都合の良い解釈で妹を奪うなんて簡単には許さねえんだよ