「莉子ちゃん…大丈夫?」

あたしは、莉子ちゃんの隣に立つとそっと手を握りしめた

「私、驚いてるんです
藤城君が髪を切るなんて…思わなかったから」

莉子ちゃんが小さい声で呟いた

「たぶん…私が思っているより、藤城君も兄様も大人なんだと思うんです
まあ、兄様はとっくに出来た大人なんですけど
私、藤城君を見誤ってました
もっと大きくてしっかりしている人でした
私一人で、暴走して、私自身が傷つきたがっていたように思います」

莉子ちゃんがぎゅっとあたしの手を握り返してくれた

「あ~あ、勇人さんは下校時間まではきっちりとケリをつけてくれるんだろうなぁ
俺、早く帰りたいんだけど」

「小花さんと約束でもしてるの?」

「いんや、してない
でも早く帰りたいじゃん
家で夕飯作って待っててくれてるって思ったら、生徒会の仕事なんてやってらんねつうの」