「克波君は…勇人さんと藤城君のこと知ってたの?」

「いや、知らねえよ
知らねえけど…さっきの二人を見てればわかる
莉子ちゃんの反応といい…ね」

克波君がまたにっこりとほほ笑んだ

「藤城君はMだから、Sな兄様と今頃楽しいプレイでもしてるんじゃないですか?」

莉子ちゃんが微笑んだ

「莉子ちゃん…心配じゃないの?」

「大丈夫ですよ
あの二人…本気で相手を殺そうとは思ってないですから」

莉子ちゃんがあたしから視線を外すと、窓に目を向けた

「ただ…ケリをつけたいんだと思いますよ」

「そうそう!
男ってば、きっちりと区切りをつけたい時があるんだよな
痛い目を見るってわかっていても、心の整理が必要なときがある」

克波君が腕を組んで、大きく頷いた

「でもあの藤城を…よく落としたな、莉子ちゃん!」

克波君が、会長の椅子に座ると楽しそうに口を開いた

「言ったでしょ?
藤城君はMだって」

「Sの女王・莉子…ここに降臨…て?」

「まあ、そんなところです」

莉子ちゃんが寂しそうにほほ笑んだ

やっぱり…莉子ちゃんも不安なんだよね

二人を止められないって知っているから、何も言わないだけで

本当は

不安でたまらないはず