俺はあっさり空手を捨てた。
別に空手を嫌いになった訳じゃない。

ヒーローになるためには、空手だけじゃ力不足だ。

よし、今度は香港スターみたいに華麗な武術を身に付けよう。
そう思って、マーシャルアーツの門戸を叩いた。

大学に行きながら、一から学んだ結果、その腕と夢を買われて、俺はようやく念願のヒーローになることができた。

ま、実際は事務所を紹介してくれる人に頭を下げたりもしたけど、ヒーローにそんな話しは似合わない。

俺は日々、正義の仮面を被って、悪を必殺技でやっつけていく。

きっと俺の活躍を見て、子供達は正義の心を育み、立派にこの世界を背負っていってくれるだろう。

そう、思ってた…
あの日、あの言葉を聞くまでは…