「ね?浩介……」



歩いてると、あたしは奇妙な物が見えた。別に奇妙でもなかったけど、奇妙な物が……



「ん?なんだ?」



あたしは、奇妙な物を指差す。奇妙な物とは、誰かの手だった。



「あれって、手じゃない?」



確かに手だった。あたしの目は、両目ともわりと良い。



「っ……溺れてないか!?あれ」



浩介は、言いながら上半身とかを脱ぐと、川にとぼーんと入った。



「え?ちょ、浩介!?」



あたしは、ただ呆然と泳ぐ浩介を見つめた。
あたしは何をすれば良いか分からなかったからだ。



でも、浩介は何をすれば良いか分かるんだ。あたしには分からない。
だから、あたしは叫んだ。



ガンバレ!と……



浩介の夏服を握り締めながら……