「本当に、志緒の口は良いよね。毒しか吐かないのに、ステーキなんて食べさせて貰って。」

「どうせ毒しか吐きませんよー。」

空になった皿にナイフとフォークを置いた。

「波崎の家の人は?」

「ガキ連れて、旅行だってさ。」

ガキ…っていうのは、百合子(ユリコ)の事だろう。

「旅行、旅行って飽きないよなぁ。つか、あたしが邪魔なら出てけって言えばいいのに。」

波崎の家は、波崎が15歳の時に再婚した。

母親の連れ子が百合子だった。