家のベランダには
朝顔が植えてある
植木鉢があった
あの黒い種から、
緑の茎と
紫の花が咲くのが
不思議でならなかった
朝顔に水をあげた。
電話の着信音が聞こえた。
慌てて、家の中に戻って受話器を取った。
「もしもし。」
『志緒ちゃん、遅れてごめんね。お誕生日おめでとう。』
お母さんの声だった。
「ありがと。」
『一昨日よね。忘れてた訳じゃないのよ。仕事が忙しくて、電話かけられなかったの。』
言い訳じみた事を言う。
「大丈夫。気にしてないよ。」
『明日には帰れるから。そうしたら、みんなでお祝いしようね。』