鐘がなった。 「ピッタリだ。戻ろっか、夏期講習の一日目だし。」 江鳩くんは階段を下り始めた。 私は屋上のドアを見る。 このドア、開いたらいいのに…。 そしたら、私も江鳩くんも何かから解放されるかもしれないのに…。 「あ、志緒ちゃん。」 階段下から、声が聞こえた。 「誕生日おめでとう。」 「ありがと。」