「まぁ、確かに。」

ドアノブを回すのを止めて、また目を瞑った。

「眠いの?」

「ちょっと。」

しばらくの沈黙。

「ねぇ、江鳩くん。」

質問してみる。

「ん?」

「お兄さんが亡くなった時、悲しくなかった?」

当たり前のような質問。

でも、聞きたい事はその向こうにある。

「悲しかった。」

澄んだ声が返ってきた。