「やった。」

ちっさい喜び。

屋上に続く階段で、私は静かに喜んだ。

誰にも見られてないからいいや。

栞を挟んだ本を抱きしめた。

一生、宝物にしよう。

「やっ…。」

「志緒ちゃん、何してるの?」

二度目の“やった”を言う前に体が固まった。

「なななな、何でもないよっ。」

江鳩くんは何で色んな所に出没するんだろう?

「志緒ちゃんて、笑うんだね。」

隣に座ってくる。