携帯に着信が入った。 “波崎 香” 「もしもし。」 『はっぴーばーすでー。石月。』 ひらがな英語が聞こえる。 「ひっどい発音。」 『久しぶりに志緒の毒舌を聞いた。』 波崎が私を志緒と呼ぶ時は、昔みたいに挑発する時だ。 「それは、どうも。」 『寂しがってないみたいじゃん。よかった。』 「寂しいって、は?」 今に始まったことじゃないんだ。