「じゃ、帰るか。」

もう一度、空を見上げた。

オレンジの夕日。

さっきまでは、ギラついていた太陽が位置と色を変えた。

「じゃ。」

手を上げて、行こうとした背中を呼び止める。

「江鳩くん。」

振り返る。

「ん?」

「私もさ、言えるようになったら。そうなったら、言ってもいいかな!」

江鳩くんは、笑って答えてくれた。