しばらく、私達は黙っていた。

黙っていたんじゃない。

二人とも、泣いていて話せなかった。

江鳩くんは、起き上がった。

江鳩くんは口を開いた。

「兄貴は空が好きだった。だから、俺は空の近くに行きたいと思った。」

遠いものを見るみたいに言った。

「なんで…話してくれたの?」

声が掠れた。

「わかんねー。でも、話たら楽になるかなって。」

「思った?」

彼は頷いた。