「お兄ちゃんが…っ。」

お母さんは、泣きそうな声で江鳩くんと病院へ向かった。







「そこには、白いベッドで、たくさんのチューブに繋がれてる兄貴がいたんだ。」

目を瞑った。

それを見た時、どんな事を思ったのだろう。

自然と眉間に皺がよった。





バイク事故だった。

バイクでバイトから帰ってきた途中。

病院に来た時には、もう虫の息だったらしい。

ーー助からない。

15だった、江鳩くんにもわかった。

「兄ちゃん…っ。兄ちゃん…っ。」

喧嘩した事、謝りたかったのに。

「ごめん…本当にごめん…。俺…っ。」

お兄さんの手を握った。