「やだ、志緒ちゃん。玉子が落ちてる。」
保健室の白いテーブルにこぼれた玉子を見る。
サンドイッチからはみ出た玉子を私は素早く口に入れた。
「ぼーっとしてるのね、いつもだけど。」
はぁ、と呆れたように溜め息をつく北沢先生。
「先生、最後の一言余計です。」
「何か、あったの?」
北沢先生はコーヒーを飲むと言う。
つい中学の時の事を思い出してしまう。
中学の時は、大人と喋るのが嫌だった。
話しかけられると、ぎこちなち笑いをして。
おかしくなってしまいそうだった。
笑う度に、私は何なのか。
居る場所が無くなった気がした。