丘の上…なんて幻想的な場所ではないけれど、綺麗な場所だった。

「ここ。」

江鳩くんは花を持って、ひとつの墓石の前に立つ。

“江鳩由也”

書いてある。

「両親がわざわざ、兄貴のために買ったんだ。」

人より少し早く逝ってしまったお兄さんに。

江鳩くんの親は、出来ることをしたかったんだろう。

江鳩くんは花を置く。

そして、黙って座って合掌をした。

私も隣に座る。