私を傘に入れながら、江鳩くんは少し前を歩いた。

周りからの視線があったけど、江鳩くんがいるから大丈夫だって思った。

「志緒ちゃん。」

こういう風にみあげると江鳩くんは背が高い。

「俺、ひとつだけ。言わないといけないことがあったんだった。」

私は構えた。

「本当は。」

江鳩くんは私の目を見て逃さなかった。

「本当は、知ってたんだ。志緒ちゃんのこと、全部。」

私は目を見開いた。