涼奈は、私から視線を外してテーブルの上を見る。

「それは、文化祭の時に私か波崎の姿を見たからでしょう?」

涼奈は、粘り強いから逃げても地球の果てまで追いかけてくるだろう。

「…志緒は、相変わらずの勘の鋭さと毒吐き口だね。」

溜め息をもらした涼奈。

どこか、ほっとしたような顔だった。

「香はそのままだけど、志緒は大人しくなっちゃったんだもん。ビックリした。」

波崎の携帯を持つ手が揺れた。

「そのままってどういう意味かな、涼奈ちゃん?」