「俺、コンクールを見たことがあるんだ。」 「…そうなの?」 確かに、見ていれば私が出ていたことがわかる。 「そっか。頑張ってね、大道具。」 私は言った。 窓から潮の香りがした。 近くに海があるからかもしれない。 夏が終わった秋の香りだった。