「音楽室って、使えるよね?」

「うん。」

「ちょっと練習でもしてくる。」

楽譜も決まっていないのに、私の足は音楽室に向かっていた。

菜月はあの子に似ている。

そうして、安心感と共にあの子を消し去って、なかった事にしてしまいそうだった。

消してはいけない。

消さない事で。私は心に留めているんだから。